【新生活の安全】サッカー帰りのあの子の横を、猛スピードの車が通り抜けた。子供の悲惨の事故を防ぐ。

“見る目”

先日の練習試合の帰り道のことです。
ふと前を見ると、チームメイトの一人が一人でトボトボと歩いて帰っていました。
重たいサッカーリュックを背負って、よほど疲れていたのでしょう。背中を丸め、ふらふらと歩く小さな背中。

そのすぐ脇を、通学路にもかかわらず、猛スピードの車が「ゴォッ」と激しい風を切って走り抜けていきました。

「危ない……!」

思わず声が出そうになりました。
ドライバーは、あの子が疲れで一歩踏み外すかもしれないなんて、想像すらしていないようでした。
春になると、こうしたヒヤッとする光景をあまりに多く見かけます。同じ親として、居ても立ってもいられず、この記事を書いています。

4月の道路は、なぜこんなに恐ろしいのか

この時期は交通事故の危険が格段に高まる時期です。

警察庁の統計データによると、歩行中の交通事故死傷者が最も多いのは「7歳」。つまり、一人歩きデビューをしたばかりの小学1年生です。彼らはまだ大人ほど視野が広くありません。さらに、4月特有の理由があります。

それは、「ドライバーも不慣れである」ということです。
新入社員や異動したばかりのドライバーが、初めて通る道を、遅刻の焦りや新しい生活の疲れを抱えて走っている。そんなドライバーが、歩道のない狭い生活道路を「抜け道」として、猛スピードで駆け抜けていく。
わが子のすぐ脇を時速40km、50kmで通過する車……。それは親から見れば、凶器を振り回しているのと変わりません。
そんな光景を目の当たりにすると…正直、怖いというよりも、怒りを感じます。

私たちのすぐ側で起きている、悲しい現実

最近も、胸が締め付けられるような事故が相次いでいます。

  • 「死角」に隠れる小さな体
    見通しの悪いカーブや、停まっている車の影。子供の身長は100cm〜120cmほどしかありません。大人には見えている景色でも、ガードレールが子供の全身を隠す「壁」になってしまいます。ドライバーからすれば、「突然、何もないところから子供が飛び出してきた」ように見えるのです。
  • 見知らぬ土地での出会い頭
    住宅街の交差点での事故も絶えません。特に不慣れな土地では、ドライバーも「そこに子供がいるはずだ」という予測が働きません。スピードを落とさずに交差点へ進入し、一瞬の発見の遅れが取り返しのつかない事態を招いています。

私が「付き添い登校」を続けて気づいたこと

私は、わが子が1年生の時は毎朝一緒に登校しました。
黄色い帽子を被らせて、手をつないで、とにかく「ここに子供がいるぞ!」とドライバーにアピールするためです。
「過保護かな」と思うこともありましたが、実は、安全以外の「いいこと」がたくさんありました。

旗振りをしてくれている先生方と顔見知りになり、ちょっとした世間話ができるようになったんです。
「あの子、今日はリレーの選手に選ばれましたよ」
「みんなの前で、こんなに立派な発表をしていましたよ」
担任の先生以外の方とも話すようになったので、連絡帳には書かれない、学校でのわが子のキラキラした様子。これは親にとって、「レア情報」でした。それが子どもとの会話のきっかけになりましたし、振り返ってみると、けっこう幸せな時間だったと思います。

どうしても付き添えない時の「次善の策」

お仕事やご家庭の事情で、どうしても付き添えないという親御さんも多いと思います。
そんな時は、ぜひお子さんにこう伝えてあげてください。
「できるだけ大きな子、上級生と一緒に歩こうね」と。

小さい子は、ドライバーからは本当にかくれんぼしているように見えません。でも、体の大きな上級生が隣にいれば、ドライバーも遠くから「あ、あそこに子供たちがいるな」と気づいて、早めにブレーキを踏んでくれます。「集団の力」を借りることは、立派な安全対策です。

最後に

サッカーを頑張る子供たちも少しずつ成長しています。
これまでは親の付き添いで通っていた子たちも、少しずつ一人でグラウンドに来る子が増えてきました。
この次はおそらく自転車に乗れるようになって友達とさっそうとやってくるようになるのかなと思います。

「家に着くまでが、今日のトレーニングだよ」

とはよく言いますが、子どもたちにはさほど気に留めるような言葉ではないかなと思います。
春の光の中、真新しいランドセルや重いサッカーリュックを背負って歩くあの子たちが、悲しい事故に巻き込まれないように。
幼い時期は親が子どもたちの「もう一つの目」になってあげるしかないのかなと思います。
さらに成長すると、やっぱり頼れるのは親ではなく友達に少しずつ少しずつなっていくのかな…。
ちょっと寂しいですが…。

親の手から、「仲間」というチームへ

いつまでも手を繋いで歩いていたいけれど、子供は少しずつ、私たちの手を離れていきます。高学年になれば、親が付き添うことの方が難しくなる。その時、わが子を守ってくれるのは、親の目ではなく「仲間」の目です。

「今日は〇〇君たちと一緒に行くから、安心だね」
親がそう思える環境は、実は子供がサッカーで学んでいる「コミュニケーションスキル」と深く繋がっています。

サッカーは、一人では戦えません。時には初心者同士が集まってチームを組み、強い相手に立ち向かうこともあります。そこで必要なのは、お互いの状況を察し、声を掛け合い、助け合う力。それはピッチの中だけでなく、通学路でも同じです。

「車が来たぞ!」「こっちから渡ろう」。
仲間と集団で歩くことで、物理的にドライバーから見えやすくなるだけでなく、危険を察知する「目」が複数になります。サッカーで培った「チームワーク」が、そのままあの子たちの身を守る盾になるのです。

サッカーも頑張ってほしいけど、うちの子にもいい仲間ができてくるといいなぁ…。

takeisan

ギャラクシー賞監督で現役のテレビディレクター。アナウンサーなどの採用面接官も務める。週末は8歳の息子を追う「少年団パパ」。独自の観察眼で、少年団サッカーと将来の「選ばれる力」の意外な関係をドキュメンタリー風に綴ります。新連載:原爆の謎を追いかけて 公開中

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