【実録】ピンチに逃げた者が、残った者を評価する構造
会社側の本音がよく分かるエピソードがあるので、記します。就職活動の最前線で、学生たちが信じている「優秀であれば報われる」という神話。しかし、現場には目を背けたくなるような不条理が横たわっています。
ある世界的なパンデミックの最中、崩壊の危機に瀕したある企業の話です。
業績が悪化し、先が見えなくなった瞬間、真っ先に逃げ出したのは「優秀」と持て囃された中堅社員や、華やかな経歴を持つ役員たちでした。会社を支えたのは、そうしたエリートとは程遠い、しかし地道に目の前の仕事をこなしてきた真面目な「普通」の社員たちだったのです。彼らは会社を守るためではなく、社会にそして世間に求められることをやり続けました。
しかし、業績が回復した後に起きた現実は残酷でした。実権を握ったのは、戻ってきた「元・優秀層」や、ピンチに機能しなかった役員たち。転職した先で思うような待遇を得られなかったのです。会社を救った功労者たちの待遇は変わらず、社内には重苦しい不公平感が蔓延しています。
今、面接の場であなたの合否を決めているのは、まさにこの「ピンチに背を向けた側」の人間である可能性がある。この構造を理解することから、本当の就活が始まります。
最終面接の後の「密室」で囁かれる本音
役員クラスを交えた最終面接が終わった後、狭い会議室で繰り広げられる会話。そこには、募集要項には決して書かれない「選別」の基準があります。
「あの子は優秀だけど、3年経ったら別の業界に転職しそうだな」
「不登校の過去があるが、すぐに辞められては困る。耐えられるのか?」
「会社がピンチになった時に、すぐに転職できるくらい賢すぎるのではないか」
「多少のハラスメントでも受け入れらるメンタルがないのでは…」
彼らが探しているのは、共に未来を創る仲間ではありません。自分たちの体制を維持するために、「多少の不条理(ハラスメント)があっても踏ん張れる、頑丈で都合のいいパーツ」なのです。彼らはあなたの「優秀さ」を恐れ、同時に「忠誠心の欠如」を疑っています。
その原因の一端は就活という環境にもあるように思います。
99%の就活生が陥る「化かし合い」の罠
一方で、就活生側はどうでしょうか。
「ラッコキーワード」などのリサーチツールを使えば、「就活」に関連する検索上位は「証明写真」「髪型」などといった外見に関するワードが多く散見されます。しかし、現場の面接官にとって、それらは単なる「ノイズ」に過ぎません。
音声のノイズと同じで、最低限整っていれば話は入ってきますが、写真が完璧だからといって合格に近づくわけではない。むしろ、外見を100点に塗り固め、借りてきた「テンプレ言葉」で武装するほど、あなたという人間は透明になり、面接官の目には「中身のない空箱」として映ります。ただ、これでも一次面接などはうまく潜り抜けることができるかもしれません。減点がないわけですから。
自分という「魂」を駆動させる
では、どうすればこの不条理な「化かし合い」を突破できる「自分」に気づくことができるのか。
自分軸や自分史の作り方など様々な方法がネットには溢れていてそれらを参考にすることも手だと思います。ここでは、私がかつて実践した、泥臭くい手法を紹介します。
1. 田舎の「情報の残りカス」への焦燥感
私の原動力は、ある種の「焦り」に近いものでした。
ネットが未成熟だった時代、地方で育った私に届く情報は、すべてが都内での消費期限が切れた「残りカス」のようなトレンドばかりでした。テレビで流行っているものは、東京ではもう誰も見向きもしていない。新しい本も、最新のカルチャーも、常に数歩遅れてやってくる。
この「情報の飢餓感」が、私の中にある種の渇きを生みました。
「何か知らされていないことがあるんじゃないか。誰かに編集された二次情報ではなく、一次情報(現場の真実)を、自分の目で見てみたい。知りたい。」
なぜ、そう思ったのか。その背景には親からの影響があることが分かりました。
2. 平和な日本と、食卓に並ぶ「世界の惨状」
私の中には大きな「ギャップ」が横たわっていました。
それは、親との何気ない対話から生まれたものです。
地方の穏やかな生活、テレビから流れる浮かれた流行。その一方で、私の親は折に触れて、世界の裏側にある「本当の姿」を教えてくれました。
「なぜあの国とあの国は、同じ人間なのに殺し合わなければならないのか」
「紛争によって、教育すら受けられず、今日食べるものさえない子供たちがどれほどいるか」
平和で豊かな日本の食卓と、親の言葉から広がる戦地の惨状。
このギャップが、私の心に消えない「もやもや」を植え付けました。
遅れてくる情報、親から教えられた世界の惨状。このことが私の「知りたい」という原動力に大きな影響を与えてくれたのは町がありません。
「 この世の中のことをもっと深く、根源的に知らないと、自分は一生『空っぽ』なままで終わってしまうのではないか」。
退路を断つ「セルフディレクション」
新聞記者になりたいという決意を、これ以上ないほど大きく紙に書き出しました。そして、それをアパートの玄関、トイレ、リビング……生活のあらゆる動線に貼り出したのです。無意識のうちに自分の志が視界に入るよう、自分をその色に染め上げました。
(この方法はメンタルトレーナーの白石豊氏の本から学びました)
さらに友人全員にこの目標を公言しました。
「自分は新聞記者になる」と。
あえて退路を断つ環境を作ることで、逃げ場をなくしたのです。
面接官が「すぐ辞めるのでは?」と疑うなら、こちらは「情報の遅れに焦り、世界の惨状に震え、その答えを出すために壁に目標を貼り出し、友人に宣言してまでここに来た。この職業は私の人生になくてはならないものだ」という「内なる熱意」で返す。
内定を「もらう」のではなく、自分の人生の目的を果たすために、この会社という「場所」を「使いに来た」。この主客転倒の覚悟が、面接官には“気になる人”に映るはずです。
あなたが受け取っている「見過ごされたバトン」
この記事を読んで、自分にはそんな強い動機はないと絶望しないでください。
実は、私自身の原動力も、突き詰めれば「親との何気ない会話」を覚えていただけのことなのです。
多くの人が見過ごしてしまうような、小さな家庭内の景色。それが私の人生を動かす「バトン」になりました。全ての就活生に、実は同じようなヒントが必ず眠っています。かつての私も、文章は50点、実績も何もない、もがき苦しむ学生でした。でも、何度も自分と向き合う中で、その小さなバトンの存在に気づきました。
どうか、もう一度自分の人生を振り返ってください。
情報の溢れるネットの中ではなく、あなたの記憶の片隅に。
あなたにしか渡されていない、素晴らしくて、泥臭い、何かしらのバトンがあるはずです。
それを本当は、あなた自身が最も分かっているはずです。
そのバトンを、次はあなたが社会へ、そして未来へと繋ぐ番です。


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