子ども時代から“止まった思考” やばいくらいに露わになってしまうのが面接です。

“見る目”

緊張が思考を止める理由と、その正体

影響がいちばんはっきり出る場所が「面接」だった

21話、22話で書いてきたことを、
いちばん分かりやすく突きつけてくる場があります。

それが、面接です。

子どもの頃から、考える前に答えが示され、
「こう言えばいい」「次はこうしよう」と
思考の途中で会話が終わってきたとしたら。

その影響は、あの短い時間に、いっきに現れます。

準備してきたのに、言葉が出てこない瞬間

面接の現場では優しい質問から突飛な質問まで様々あります。

「あなたの強みは何ですか」
「学生時代に力を入れたことを教えてください」

「あなたは空を飛ぶ鳥です。鳥の気持ちになって今の感情を表現してください」などなど

変化球の質問にも事前に考えてきた。ノートにも書いた。頭の中では、だいたい分かっている。

それなのに、椅子に座って視線を向けられた瞬間、言葉が出てこなくなる。

頭が真っ白になる。

これは、就活生だけの話ではありません。
転職でも、プレゼンでも、
「評価される場」に立ったとき、
同じことが起きます。

緊張すると、脳の中で何が起きているのか

このとき、脳の中でははっきりした変化が起きています。

心理学では、ワーキングメモリという言葉があります。
いま考えていることを一時的に保ちながら、
組み立て、言葉にするための場所です。

面接では、このワーキングメモリを使って、
・質問を理解し
・自分の経験を引き出し
・順序立てて話す

という作業を、同時に行っています。

ところが、強い緊張や不安が入ると、
この場所の一部が、別のことで埋まってしまう。

「変に思われていないか」
「失敗したらどうしよう」
「評価が下がっていないか」

こうした雑念が入り込むと、
考えるためのスペースそのものが足りなくなる

いわゆる「頭が真っ白になる」状態は、
能力が足りないからではありません。
思考に使える場所が、一時的に奪われているだけです。

それでも、考え続けられる人がいる理由

同じように緊張しているはずなのに、
それでも話し続けられる人がいます。

その違いは、性格や度胸ではありません。

研究では、不安があってもパフォーマンスを保てる人には、
ある共通点があるとされています。

それは、考え方の一部が「自動化」されていること

つまり、
毎回ゼロから考えなくても、
「考え始める型」が体に染みついている。

・どこから話し始めるか
・途中で詰まったら、どう立て直すか
・完璧でなくても話を進める感覚

こうした回路を、日常の中で何度も使ってきた人ほど、
緊張しても、思考が完全には止まりません。

面接は、思考習慣を映す鏡かもしれない

面接で差が出るのは、
「正解をどれだけ準備したか」ではなく、
考えながら話す経験を、どれだけ積んできたか
なのかもしれません。

自己決定理論という心理学の考え方では、
自分で選び、意味づけしてきた経験が多い人ほど、
ストレスのかかる場面でも行動が安定することが示されています。

他人に決められ続けた人ほど、
他人に見られる場で、思考が止まりやすい。

面接は、その差がとても露骨に出る場所です。

「正解がすぐ手に入る社会」が、緊張を強くする

ここで、こちらの記事こちらの記事につながる話があります。

いまは、答えがすぐ手に入る社会です。
うまくいかなければ、動画を見る。
調べれば、正解が出てくる。

効率的で、便利で、失敗も少ない。

でも、
体を使って身につける技術や、
時間をかけて理解する学びは、
そうはいきません。

試行錯誤の時間が必要で、
成果が見えない期間を、考え続ける力が要る。

この「考え続ける耐久力」が、
緊張の中で、ものを言います。

就活生が日頃からできる、思考のトレーニング

緊張しない方法を探すより、
緊張しても考え続けられる状態をつくる方が、現実的です。

たとえば、こんな練習があります。

● 完成した答えを作らない

想定質問に対して、
結論を決めない。
「どこから話し始めるか」だけを決めて、口に出す。

● 30秒で理由を3つ考える

良し悪しは評価しない。
量だけ出す。
思考の立ち上がりを速くする。

● 問いを自分に返す

一日の終わりに、
「今日、一番引っかかったことは何だったか」
と一行だけ書く。

どれも地味ですが、
考える回路を日常で回し続ける練習になります。

緊張は消せない。でも、思考は残せる

面接は、怖い。
緊張もする。

それ自体は、誰にとっても同じです。

でも、あの場で立ちすくんでしまうのは、
人生一発勝負だからではないのかもしれない。

考えることを、
ずっと途中で終わらされてきた人ほど、
あの場が苦しくなるだけ
だとしたら。

面接は、残酷な試験ではなく、
これまで、どんなふうに「考えてきたか」を映す鏡なのかもしれません。

takeisan

ギャラクシー賞監督で現役のテレビディレクター。アナウンサーなどの採用面接官も務める。週末は8歳の息子を追う「少年団パパ」。独自の観察眼で、少年団サッカーと将来の「選ばれる力」の意外な関係をドキュメンタリー風に綴ります。新連載:原爆の謎を追いかけて 公開中

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