子どもをサッカーの自主練習に誘うには?|9歳の息子とのやり取りで成功したパターン

“見る目”

「今日、練習する?」

少年サッカーをやっている子どもに、こんなふうに声をかけることがあるかと思います。

でも、これがなかなか難しいですよね。

うちの息子は、基本的にはまじめで、

サッカーも好きだし、練習に行くことを嫌がるわけでもない。

ただ、自主練習となると話は別です。

休みの日。特に予定もなく、時間もある。

親からすれば、

「この時間、もったいないな」

と思ってしまう。

リフティングをやったらいいのに。ドリブルの練習すればいいのに。

シュートだって練習できるのに。

少しでも自主練習をすれば、他の子との差を縮められるかもしれない。

もっと上手くなれるかもしれない。

親としては、当然そう思う。

でも、本人はというと――。

ゲームをしたり、YouTubeを見たりしています。

別に悪いことをしているわけではない。

でも、「せっかく時間があるのに……」と思ってしまう。

だから、

「練習しよう」

と声をかける。

ところが、そう簡単には動かないですよね。

子どもを自主練習に誘うには、どうすればいいんだろう。

そして、これまで息子を自主練習に誘って、実際に練習したことを振り返ってみると

いくつか共通することが見えてきました。


「練習しよう」だけでは、練習しない

考えてみれば当たり前ですよね。

親は、「練習したほうが上手くなる」と思っている。

でも、子どもからすると、「なぜ今、練習するの?」です。

もちろん、サッカーが上手くなりたいとは思っている。

でも、「まぁ上手くできてるんじゃない」と思っているかもしれないし、

「まぁ上手くなりたい」と思っているかもしれない。

モチベーションがそこまで働いていない状況で

「今から1時間リフティングをする」には、結構な距離があります。

だから、

「練習させる」ことよりも、その前にあるものが大事なんじゃないかと思うようになりました。

要は、「自分には、これが足りない」という本人が認識することです。

あるいは、「こうなりたい」というイメージを持てるかどうかです。

これが本人の中にできると、練習への反応が変わる。

実際、息子にはそんな経験がいくつかありました。


①「リフティング100回」という明確なゴール

一番分かりやすかったのが、リフティングでした。

息子が通っているサッカー教室では、ある段階で、

「リフティング100回」という目標が設定されました。

100回できなければ、次のステージに進めない。教室には通えない。

これは非常に分かりやすい。

本人からすれば、「できるようにならないといけない」という状況になる。

かつてないプレッシャー。

だから練習するしかない。

ところが、リフティングの練習を続けていると、少しずつ回数が伸びてくる。

10回だったのが20回になる。

20回だったのが30回になる。

そして、あと少しで100回に届きそうになる。

ここまで来ると、

「練習しなさい」

と言わなくても、本人の中に、

「もうちょっとやれば、できるかもしれない」

という感覚が生まれてくる。

そして、100回を達成した。

ゴールが明確で、やらなきゃいけない理由も名なく、自分の成長も分かる。

これが揃うと、子どもは動きやすい。

もちろん、親が上手くほめることも大事だと思う。

「今の良かった」

「さっきより続いたね」

そんな小さな声かけをしながら続けていく。

すると、いつの間にか、

「やらされている練習」

から、

「できるようになりたいからやる練習」に変わっていきました。

最後は泣きながらでも練習を続けていましたね。


② シュート練習は「できなかった直後」がいい

もう一つ、かなり分かりやすかったのがシュート練習。

これは、練習試合などでシュートが上手く蹴れなかった時。

あるいは、シュートを打ったけれど、思ったようにボールが飛ばなかった時。

そういう経験をした後が

子ども自身が、

「もっと強く蹴りたい」

「もっと上手く蹴りたい」

と思っているタイミングです。

ただ、この段階で「シュート練習してみる?」と聞いても、ちょっと微妙かもしれません。

もう1段階、手間が必要です。

日本代表の試合などを一緒に見ていて、ものすごいシュートが決まる。

「今のシュート、すごいな!」と傍で言う。

それを聞いた息子は、「今の選手、何ていう名前?」と興味を持つ。

「あぁ、これが良い選手なんだ」「これが良いシュートなんだ」

という基準が、本人の中にだんだんできてくるんです。

今では、YOUTUBEでプレミアリーグのダイジェスト映像などが無料で視聴できます。

そこには世界トップレベルのシュートやパス、ディフェンスなどが盛りだくさんです。

「あの選手のドリブル、すごいな」

「これ、世界最高クラスのドリブルだよね」

と傍らで言ってみる。

別に、「こういうドリブルを練習しなさい」と言うわけではない。

ただ、一緒に見る。

そして、

「こういうプレーができたらいいな」

と思える材料を、少しずつ増やしていく。

こういう一緒に観る時間をいかに増やしていくかがとても大切。


「自分に何が足りないのか」を本人が分かること

実際の練習試合などでうまくシュートができなかった。

プレミアリーグの映像などで「良いシュート」のイメージができてくる。

こういう状態をつくって、初めて

「自分に何が必要なのか」を本人が認識しているかが、とっても大切です。

逆に、本人の中に何もない状態で、

「今日は時間あるから、ドリブル練習しよう」

と言っても、

「なんで?」となる。

だから、自主練習に誘う前の時間のほうが大事なんだということです。


親が「仕向ける」のも、親の役割なのかもしれない

「子どもの自主性を尊重しましょう」と言われる。

もちろん、それは大事だと思う。

でも、だからといって、

「本人がやりたいと言うまで何もしない」ということでもないと思う。

例えば、親子でサッカーの試合を見る。

「あの選手のシュート、すげー!」と親が言う。

一緒にYouTubeでドリブル動画を見る。

「あのドリブル、めちゃくちゃ速いな」と言う。

練習試合の後に、

「さっきのシュート、惜しかったな」と話す。

こういうことも、子どもが自分のサッカーについて考えるきっかけになる。

つまり親は、

子どもに「こうしなさい」と指示するだけではなく、「こうなりたい」と思える材料を見せることもできる。

これも親の役割なのではと思う。


そして、誘う時は意外とシンプル

ここまでやったうえで、実際に息子にはこう言いました。

「今日、午後1時間くらい時間あるけど、シュート練習する? ゲームしててもいいよ。どうする?」

これだけ。

「練習しなさい」とは言わない。

「せっかく時間があるんだから」とも言わない。

選択肢を渡す。

そして、決めるのは本人。

もちろん、「今日はゲームする」でもOKです。

その場合は、親の力量が一歩及ばなかったということでしょう。


練習が始まったら、今度は「教えすぎない」

シュート練習をすることになったとしても、僕は1時間みっちり練習はしない。

基本的なことをやる。

そもそも短時間で改善できるものではないと思います。

何本か蹴る。

良いキックが出る。

悪いキックも出る。

その中で、

「今の、どうだった?」

と聞く。

あるいは、

「今の感覚、分かる?」

くらいでもいい。

すると、本人も少しずつ、

「あ、今のは良かった」

「今のは変だった」

と分かってくる。

ここが大事だと思っている。

親が、

「今のは軸足が……」

「もっと腰を……」

「腕をこうして……」

と全部説明してしまうと、自分で考えなくなる。

そうではなくて、

本人が自分の感覚を探す。自走するのが理想です。

そして、

「あと何本やる?」

「何時までやる?」

と聞いてみる。

決めるのも本人。

本人が納得するところまでやって、いいところで終わる。

そんな声掛けが良いのではと思うけれど、

結局、子どもって夢中になってやりだすと時間を忘れるので、そこは親が仕切ってやめさせましょう。

真っ暗の中でボールを蹴っても良い練習にはなりません。


「任せる」と「放っておく」は違う

親がやることは結構ある。

試合を一緒に見る。

子どものプレーを見る。

できなかったことを一緒に考える。

上手い選手のプレーを見る。

「こんなプレーができたらいいね」と話す。

そして、本人が「やってみようかな」と思わせる。

これは、

「放っておく」のとは全然違う。

むしろ、子どもが自分で動き出せるように、周りの環境を整えている。


これって、本当に意味があるのか?

少しAIに聞いて調べてみました。

2024年に発表された、若いアスリートと親の関係についてのシステマティックレビューでは、1999~2023年に発表された29研究をまとめています。

そのレビューでは、子どものスポーツへの動機づけにおいて、親の関わり方は重要であり、子どもの自律性を支える関わり方、適度な関与、親子関係の良好さなどが重要な要素として挙げられています。

また、10~15歳のサッカー選手527人を対象にした研究では、チームの中で「自分で選択し、主体的に関われている」と感じていた選手ほど、その後、チーム練習以外のサッカー活動(自主練)を行う頻度が高かったという結果も報告されている。

もちろん、これらの研究から、

「こうすれば必ず自主練をする」と言えるわけではありません。

「自分でやってみよう」と思える環境をつくることが、子どものスポーツへの主体的な関わりと関係している。

という考え方には、私自身の経験とも重なる部分がありました。


自主練習の前に、「こうなりたい」がある

自主練習に誘う方法を考える前に、「なぜ練習するのか」を本人が持っているかを見ることが大事なのではないか、と思います。

リフティング100回なら、

「100回できるようになりたい」という目標がある。

シュートなら、

「もっと強いシュートを蹴りたい」という思いが生まれる。

ドリブルなら、

「あの選手みたいに相手を抜きたい」と思うかもしれない。

その「こうなりたい」が見えてくると、

「練習しよう」という言葉の意味が変わる。


親ができるのは、火をつけるところまで

「練習しなさい」では練習はしません。

それを続けていると、サッカーそのものが「親から言われるもの」になってしまうかもしれない。

それよりも、

「このシュート、すごいな」

「こんなドリブルできたらいいな」

「この前の試合、あの場面どうだった?」

と、一緒に見る。

一緒に考える。

本人の認識に割り込んでいく作業が最初の一歩です。

「今日、時間あるけど、やってみる?」

最終的にやるかどうかは、本人に任せる。

これが一番しっくりきますね。親も子もお互いハッピーです。

takeisan

ギャラクシー賞等受賞・ドキュメンタリー監督。アナウンサーなどの採用面接官も務める。人口40万の市大会3位のMF。週末は8歳の息子を追う「少年団パパ」。独自の観察眼で、少年団サッカーと将来の「選ばれる力」の意外な関係を綴ります。

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