息子がいま挑戦しているのは、「太もも」のリフティングです。
これ、やってみるとわかるんですが、
めちゃくちゃ「角度」がシビアなんです。
ももを上げすぎると、自分の方に飛んでくる。
低いと、ボールはどこか遠くへ逃げていってしまう。
ちょうどいい角度で、真上に、
ポン。
ポン。
と上げ続ける。
ただ、人間観察を仕事にしてきたテレビマンの目で見ていると、もっと大事なことに気づきます。
それは、
「テクニック」の前に、「体の土台」があるんじゃないか?
ということです。
土台がなければ、キレは生まれない。
太ももリフティングは、
・同じ高さまで脚を上げ続ける
・バランスを崩さない
・リズムを維持する
これができないとうまくいきません。
日本代表を目指すような子は、小学生でも太ももリフティングを1000回やるそうです。
1000回ですよ。
それって、ボールを扱うのが上手いだけじゃなくて、
「1000回、太ももを同じ高さまで上げ続ける」
という脚力や持久力、そして体をコントロールする力があるということですよね。
その圧倒的な土台があるからこそ、試合での一瞬の「アジリティ(俊敏さ)」にもつながっていく。
もちろん、太ももリフティングを1000回できれば、それだけでアジリティが高くなる、という単純な話ではありません。
でも、
土台のないところに、キレのある動きは宿らない。
僕には、そんなふうに見えます。
リフティングの練習は、実は「体づくり」そのものなのかもしれません。
「若いから、バランスがいい」とは限らない?
ここで、ちょっと気になる研究があります。
広島大学大学院の研究グループが2020年に発表した、**「世代別でのバランス能力の違い」**という研究です。
10代から80代まで、541人を対象に、目を閉じて片足で立っていられる時間を測定しています。
いわゆる「閉眼片脚立位保持時間」です。
結果を見て、僕はちょっと驚きました。
10代の平均は33.0秒。
一方で、
20代、30代は42.8秒。
なんと、10代のほうが約10秒短かったんです。
普通に考えれば、
「若いほど、バランス能力が高い」
と思いますよね。
ところが、この研究では10代が20代、30代を下回っていました。
もちろん、この研究だけをもって、
「今の子どもは昔よりバランス能力が落ちている」
と断定することはできません。
この研究は、2020年時点の各世代を比較したものだからです。
でも、
「若いから、自然に体をうまく使える」とは限らない。
これは、僕にとってちょっとした発見でした。
そして、サッカーをする子どもを見るときにも、これは意外と大事な視点なんじゃないかと思います。

面接の「機転」も、おなじです。
これ、僕が仕事で向き合っているアナウンサーの面接でも、まったく同じことが言えます。
とっさの質問に、キラリと光る答えを返せる子。
いわゆる「機転がきく」といわれる人たちです。
でも、彼らは、その場で魔法を使っているわけじゃないんです。
その裏側には、圧倒的な**「体験のストック」**という土台があります。
自分が経験していないこと。
一度も考えたことがないこと。
それは、どんなに頭が良くても、とっさには言葉になりません。
僕らテレビマンも、いろんな業界の人に会います。
そこで無難に、でも深く話すためには、
「広く、浅く、でも自分なりに思うこと」
を日ごろからストックし続けていないといけない。
いざというときの「機転」は、その場で突然生まれるものではないんですよね。
その前に、ちゃんと土台がある。
息子に「政治」を語るということ。
僕自身は、少し変わったやり方をしています。
新しいニュースや難しい経済の話に触れたとき、いつもこう考えるんです。
「これ、どうやったら小学3年生の息子に伝わるかな?」
って。
難しいことを、そのまま覚えるのはしんどい。
でも、
「これって、学校のあのルールと同じだよ」
とか、
息子の身近なものに置き換えて説明しようとすると、僕自身のなかで、その情報の「本質」が整理されていく。
「ああ、つまりこういうことか」
と。
そうやって手間暇かけてストックした言葉こそが、いざという時の「機転」になって、自分を助けてくれるんです。
親としてできること
ここからは、サッカーにも使えるポイントです。
リフティングは、何回できたかだけではなく、パフォーマンスの土台にも目を向けてみてください。
・何回続いたかではなく、ボールが安定しているか
・姿勢が安定しているか
・集中が続いているか
・疲れてきてもフォームを保てているか
回数は、結果として目に見えます。
でも、その回数を支えているものは、もっと見えにくい。
だからこそ、親が見てあげる価値があるんじゃないかと思います。
そして、もう一つ。
子どものバランス能力にも、少し目を向けてみてください。
例えば、バランスボールに座らせてみる。
何秒、足をつかずにいられるか。
遊びながら、そんなところを見てみるのも面白いかもしれません。
もちろん、これだけでサッカーの能力を測れるわけではありません。
でも、
「うちの子は、自分の体をどれくらい思い通りに動かせているんだろう?」
と考えるきっかけにはなります。
まずは土台づくり
アジリティを高めたいなら、まずは自分の体を思い通りに動かせる土台をつくる。
機転を利かせたいなら、まずは日常を面白がる。
ショートカットなんて、ないんですよね。
小さなことを繰り返して、少しずつ土台をつくっていく。
サッカーも。
仕事も。
たぶん、子育ても。
そんなことを考えながら、
今日も庭で、
ポン。
ポン。
と、ボールの音を聴いています。

次のお話はこちら:【河川敷の「独り言」が変貌?|少年団サッカーの保護者が抱える葛藤と「見守る」勇気】


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