リフティングの話、もう少しだけ続けますね。
息子がいま挑戦しているのは、「太もも」のリフティングです。
これ、やってみるとわかるんですが、
めちゃくちゃ「角度」がシビアなんです。
ももを上げすぎると自分の方に飛んでくるし、
低いと、ボールはどこか遠くへ逃げていってしまう。
ちょうどいい角度で、真上に、ポン、ポン。
でもね。
監督の目で見ていると、もっと大事なことに気づくんです。
それは「テクニック」の前に、「筋力」があるかどうか。
土台がなければ、キレは生まれない。
日本代表を目指すような子は、
小学生でも、太ももリフティングを1000回やるそうです。
1000回ですよ。
それって、ボールを扱うのが上手いだけじゃなくて、
「1000回、太ももを同じ高さまで上げ続ける脚力」があるってこと。
その圧倒的な土台があるからこそ、
試合での一瞬の「アジリティ(俊敏さ)」が生まれる。
土台のないところに、キレのある動きは宿らない。
リフティングの練習は、実は「体づくり」そのものだったんです。
面接の「機転」も、おなじです。

これ、僕が仕事で向き合っている
アナウンサーの面接でも、まったく同じことが言えます。
とっさの質問に、キラリと光る答えを返せる子。
いわゆる「機転がきく」といわれる人たち。
彼らは、その場で魔法を使っているわけじゃないんです。
その裏側には、圧倒的な「体験のストック」という土台がある。
自分が経験していないこと、一度も考えたことがないことは、
どんなに頭が良くても、とっさには言葉になりません。
僕らテレビマンも、いろんな業界の人に会います。
そこで無難に、でも深く話すためには、
日ごろから「広く、浅く、でも自分なりに思うこと」を
ストックし続けていないといけない。
息子に「政治」を語るということ。
僕の場合、そのストックの仕方はちょっと変わっています。
新しいニュースや難しい経済の話に触れたとき、いつもこう考えるんです。
「これ、どうやったら小学3年生の息子に伝わるかな?」って。
難しいことを、そのまま覚えるのはしんどい。
でも、「これって、学校のあのルールと同じだよ」とか、
息子の身近なものに置き換えて説明しようとすると、
僕自身のなかで、その情報の「本質」が整理されていく。
そうやって手間暇かけてストックした言葉こそが、
いざという時の「機転」になって、自分を助けてくれるんです。
まずは、足を上げ続けることから。
アジリティを鍛えたいなら、まずは太ももを上げ続ける。
機転を利かせたいなら、まずは日常を面白がる。
ショートカットなんて、ないんですよね。
息子と一緒に、僕も「言葉の脚力」を鍛え直さなきゃ。
まずは、明日のニュースを、どう料理して息子に話そうか。
そんなことを考えながら、
今日も庭で、ポン、ポン、と響くボールの音を聴いています。



コメント