苦い夕食会:プロの私が「妻の撮影」にダメ出ししてしまった日
実は、この記事を書こうと思ったのには理由があります。
以前、仕事でどうしても息子のサッカーの試合に行けず、妻に撮影をお願いしたことがありました。
私はプロとして、こうアドバイスしました。
「最新のハンディカムだし、性能がいいから大丈夫。基本、広い画角で全体を撮っておいてくれればいいから」
ところが、夜。楽しみにしていた「家族の上映会」で事件は起きました。
画面の中では、わが子を追うためにズームイン・ズームバックが目まぐるしく繰り返され、ボールを追うたびに画面が急激にパン(横移動)し、おまけに地平線はずっと斜め……。
思わず、「なんで、もっと広い画角でどっしり撮らなかったの?」と口をついて出てしまいました。
すると妻は、「そんなの難しくて撮れるわけないじゃん!」とご立腹の様子。
せっかくの夕食会は、なんとも気まずい雰囲気になってしまったのです。
プロの私には「当たり前」だと思っていたことが、現場で必死にカメラを構える親にとっては、実は「難しい技術」だったのだと痛感しました。
そこで、もしあの日の妻に、あるいは撮影に悩むすべてのパパ・ママに、「これだけ守れば、絶対に失敗しない」と伝えるなら?
その答えが、これから紹介する「5つの鉄則」です。
機材のせいではなく「撮り方」が問題
週末のグラウンド、わが子の勇姿を必死に追いかけているパパ・ママ。家に帰ってテレビに繋いだ瞬間、「あれ、画面が揺れすぎて酔いそう……」とガッカリしたことはありませんか?
最近のハンディカム、特にSONY HDR-CX680のような名機は、ズームもピントもオートで完璧にこなしてくれます。それなのに「見づらい」のは、機材のせいではなく、ほんの少しの「撮り方のコツ」を知らないだけ。
現役テレビディレクターの私が、現場で新人に叩き込む「これさえ守ればプロ級」という5つの鉄則を伝授します。
鉄則1:ズームの「限界点」を自分の中に持つ
わが子を大きく撮りたいあまり、ズームレバーを最大まで倒していませんか?これが失敗の第一歩です。
- プロのアドバイス: 「めいっぱいズーム」は厳禁です。倍率が上がるほど手ブレは増幅され、背景が消えて状況が分からなくなります。
- 理想のサイズ: 「わが子の全身 + 周囲の選手3~4人」が入るくらいの余裕を持ってください。これなら手ブレも目立たず、次に誰にパスを出すかという「試合の流れ」も映り込みます。
鉄則2:ボールを追う前に、一度「引く」
ズームしたままボールを追いかけてカメラを振る(パンする)と、画面が激しく動き、視聴者は確実に「酔い」ます。
- プロの手順: ボールが遠くに飛んだら、まずズームレバーを「広角(ワイド)」側へ引いてください。画角を広くしてからカメラを振り、目的地で再び寄る。
- 効果: 広い画(サイズ)で動かせば、カメラを振るスピードが緩やかになり、滑らかで安定した映像になります。
鉄則3:「斜め上」からの俯瞰で表情を抜く
撮影場所(ポジショニング)が映像の8割を決めます。
- おすすめの場所: コーナー付近の「少し高い場所(土手の上や観客席)」から斜めに狙いましょう。
- 避けるべき場所: ゴールの真裏はお勧めしません。背中ばかりになる上、選手が密集してわが子が隠れてしまう(被る)リスクが一番高いからです。高い位置から見下ろすことで、選手同士の距離感がはっきりし、決定的な瞬間を逃しません。
鉄則4:画面の「水平」を街の柱で死守する
画面が少しでも斜めになっていると、脳はストレスを感じて「酔い」の原因になります。
- プロの裏技: 三脚がないときは、モニターの中に「垂直に立つポールや街灯」を探してください。そのラインとモニターの枠が平行になるように構えるだけ。
- 理由: 垂直なものが真っ直ぐ映っていれば、地面は必ず水平になります。これだけで、手持ち撮影でも驚くほどどっしりとした安定感が出ます。
鉄則5:三脚に頼らず「壁や柱」を味方にする
簡易的な三脚でのカクカクしたパン(横移動)より、実は「上手な手持ち」の方が見やすい映像になります。
- プロの姿勢: 脇を締めて耐えるのは疲れます。近くにある「校舎の壁」や「防球ネットの柱」に体や腕をピタリと預けてください。
- 効果: 自分の筋肉だけで支えず、不動の構造物を「支点」にする。これこそが、長時間撮影でも疲れず、ピタッと止まったプロの画を撮るための「人間三脚」の極意です。
正直、鉄則1と2を守るだけでも劇的に映像の質がアップします。夕食の時にみんなで見られるレベルに到達すると思います。ぜひ、みなさんトライしてみてください。


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