リレー選手なのに、なぜかサッカーでは「遅い」? 息子と見つけた、現代っ子が苦手な“あること”

“見る目”

1.なぜ「足が速い」のにサッカーの動き出しは遅いのか?

わが家の息子は、足が速い方です。
毎年、運動会ではリレーの選手に選ばれて、親としても「お、今年も頑張ってるな」と鼻が高い思いをしていました。

でも、不思議だったんです。
サッカーのピッチに立つと、その「速さ」がどこかへ消えてしまう。
こぼれ球に反応するのが一歩遅かったり、相手に寄せられると、なんだか動きがぎこちなくなって、すぐにボールを失ってしまう。

「足は速いはずなのに、どうしてサッカーだとあんなにもどかしいんだろう?」
そう悩みながら息子を観察する日々が続きました。

2. 東大駒場のメソッドで判明した「左軸・右軸」の重要性

そんな時、あるトレーニング理論に出会いました。東京大学の駒場トレーニングセンターなどで言われていることですが、要は「右足、左足、それぞれでしっかり自分の体を支えられているか」という、とてもシンプルな話です。

「もしかして、あいつ、ちゃんと立てていないのかも?」

そう思って、リビングで息子に声をかけてみました。

「ちょっと片足で立って、ゆっくり膝を曲げてみて」

結果は……もう、ガタガタでした(笑)。
屈伸どころか、数秒も立っていられずに「おっとっと!」と崩れてしまう。
「あれ? おかしいな」と照れ笑いする息子。
一方で、試しに私がやってみると、意外にも数分間は平気で、浮かせた方の足を自由に動かすことができたんです。

「これ、何かあるな」と思いました。
直線で走るスピードはあっても、一瞬一瞬で体を支える「軸」が、彼の中にはまだ作られていなかったんです。

3. 現代っ子の盲点!スポーツ庁のデータが示すバランス能力の低下

でも、これって息子だけの問題じゃないようです。
調べてみると、現代の子どもたちは、私たちの頃に比べて「バランス能力」が下がっているというデータがありました。

調べてみると、スポーツ庁の調査でも、昭和60年頃を境に子どもの体力は低下し続けているというデータがありました。特に驚いたのは、走るスピードは維持されているのに、体を支える力やバランス能力だけがピンポイントで落ちているという指摘。
息子が『リレー選手なのに、サッカーで踏ん張れない』のは、まさに現代の子どもたちが直面している課題そのものだったんです。

昔は、デコボコの空き地を走り回ったり、不安定な土手で遊んだりするのが当たり前でしたよね。でも今は、どこもかしこもアスファルト。家の中はフラットなフローリング。
「不安定な場所で踏ん張る」という経験を積むチャンスが、今の生活からは消えてしまっているんです。
「足が速いのにサッカーで動けない」のは、彼らが怠けているからじゃなく、現代特有の「落とし穴」にはまっているだけなのかもしれません。

4. 自宅でできる!「シングルレッグリーチ」と「ジンガ」の効果

そこでわが家では、2つの地味な練習を始めてみました。

  • シングルレッグリーチ
    片足で立って、お辞儀をするように指先で地面を触る練習です。最初はプルプル震えていた息子の足も、毎日少しずつ「粘り」が出てきました。
  • ジンガトレーニング
    ブラジル流のステップです。しっかり軸足で体を支えながら、もう片方の足でボールを触る。

これ、やってみると親の私も結構しんどいんですが(笑)、親子で「お、今日はブレなかったね」なんて言いながら、遊び感覚で続けてみました。

5. 【体験談】2人囲まれてもボールを奪われない「剥がし」の体得

変化は、意外と早くやってきました。

ある日の試合。息子がボールを持つと、左右から相手がグイグイ寄せてきました。
いつもなら、ここでバランスを崩して終わりです。

でも、その日は違いました。
一人の相手を背中でグッと抑え込んだんです。その足は、練習の成果か、芝生にしっかり根を張っているように見えました。
そして、もう一人が突っ込んできた瞬間。
右足でスッとボールを横に動かして、スルリと間を抜けていったんです。

横で見ていた妻が、ポカンとした顔で言いました。

「えっ? ……今、抜いたよね? あんなことできたっけ?」

まだ動きはぎこちないし、強引なところもあります。
でも、囲まれても倒れず、自分の力でその場を切り抜ける息子の姿は、今までとは明らかに違っていました。

6. 一歩ずつ、一緒に

「足が速い」ことと、「サッカーで動ける」ことは別物。
それに気づけただけで、親としての接し方も少し楽になりました。

もし、同じように「うちの子、足は速いのにサッカーだとちょっと……」と悩んでいるパパやママがいたら、ぜひ一度、お子さんと一緒に「片足立ち」をしてみてください。

意外な発見があるかもしれませんし、何より、リビングで親子でグラグラしながら笑い合う時間は、案外楽しいものですよ。
わが家もまだまだこれからですが、一歩ずつ、息子と一緒に「軸」を育てていこうと思います。

takeisan

ギャラクシー賞監督で現役のテレビディレクター。アナウンサーなどの採用面接官も務める。週末は8歳の息子を追う「少年団パパ」。独自の観察眼で、少年団サッカーと将来の「選ばれる力」の意外な関係をドキュメンタリー風に綴ります。新連載:原爆の謎を追いかけて 公開中

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