いま、子どものサッカーには、
驚くほどたくさんの「出口」が用意されています。
コーチとの相性、試合に出られるかどうか。
あるいは、チームのカラーがおとなしい子に合うかどうか。
「ちょっと違うな」と感じたら、
別の場所を探すことが、いまはもう、あたりまえの選択肢です。
でも、その大きな決断のハンコを押すのは、
いつだって、親である僕たちなんですよね。
少年団という、濃密な「村」のこと。
僕がいるのは、少年団の世界です。
ここは、なんというか、親の熱量がものすごく高い。
当番を決めて、備品を揃えて、ビブスを洗う。
せっかくの休日も、車を出して子どもたちを遠征に運び、
季節が変われば、キャンプだ、バーベキューだ、クリスマスだと、
一年中、親同士が連絡を取り合っています。
正直に言えば、ちょっと「おせっかい」な場所です。
でも、その泥臭いやり取りのなかに、
他人の子も一緒に育てるような、古き良き「村」の空気がある。

クラブチームの、静かな「客席」。
一方で、試合会場で見かけるクラブチームの親御さんたちは、
どこか「セレブ」な空気をまとっています。
フィールドのすぐそばで一喜一憂したりせず、
遠くのほうで、静かに、行儀よく見守っている。
「仕事が忙しいから、試合はたまにしか行かないよ」という、
カラッとした距離感の友人もいます。
少年団が「みんなで作る学園祭」だとしたら、
クラブチームは「質の高い舞台を観に行く」感覚に近いのかもしれません。
どちらが良い、悪いではなく、
そこにある「温度」が、ぜんぜん違うんです。
決めるのは、あの子。でも、守るのは親。
低学年の子どもに、「どっちのチームがいい?」と聞いても、
その本質的な違いを理解して決めるのは、やっぱり難しい。
だからこそ、親が「わが家の輪郭」に合わせて選んであげることになります。
無理をして、親がボロボロになってしまったら、
子どもはサッカーを心から楽しめなくなってしまいます。
「この子の成長に、どのくらいの熱量が必要か」
「僕ら親が、どこまで手を貸せるか」
大事なのは、世間の評判やチームの強さよりも、
その「家族なりのちょうどいい温度」を見つけることなんじゃないかな。
移籍は、逃げじゃない。
もし、いまいる場所がどうしても苦しいなら、
そっと場所を変えることは、決して「逃げ」ではありません。
それは、あの子が一番輝ける「舞台」を、
プロデューサーである親が、必死に探している証拠ですから。



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